デザイナー転職

採用担当者を惹き付けるデザイナーの職務経歴書と自己PRの書き方(サンプルあり)

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konkon

・クリエイティブディレクター兼デザイナー
受託系制作会社、インハウスデザイナー、フリーランスを経て、さまざまなジャンルのデザイナーを23年やっています。デザイナーの立場やクライアントの立場の両方の視点からデザイナーのいろんな疑問を解説していきます。自身も転職を4回行い、自社のデザイナー・ディレクターの採用担当としても、これまで述べ約300名以上の面接を行ってきました。

本記事では、デザイナー職の特性を考慮した採用担当者に刺さる職務経歴書や自己PRの書き方をご紹介します。

数百人のデザイナーを書類選考し数十人採用した経験がある、自身もデザイナーの筆者が職務経歴書に書くべき要素や採用担当者が知りたいと思っているポイントなどについてサンプルも交えながら解説しています。

職務経歴書で自分の魅力をしっかりと伝え、入社した後のミスマッチを防ぐ書き方をご参考ください。

サンプルデザイン見本あり

デザインサンプルイメージ

記事の後半では、職務経歴書をよりわかりやすくおしゃれにデザインしたサンプルもご紹介しています。

デザイナーを採用したい面接官が知りたいポイントは?

デザイナーを採用する際、書類選考で主に重視するポイントは以下になります。(優先度順)

職務経歴書で見られるポイント

  • 過去の経歴(業界/会社/役職/職種など)
  • 募集しているポジションとスキルセットがマッチしているか?
  • どのようにデザインのスキルを身に着けてきたか?
  • 自己PR

ポートフォリオで見られるポイント

  • デザイン作品の実績(主にセンスを見る)

履歴書で見られるポイント

  • 現年収と希望年収
  • 年齢と性別
  • 志望動機
  • 学歴(職歴)
  • 通勤時間
  • 免許や資格
  • 趣味

書類選考の時点で、面接してみようかどうかを決める場合には、上記の順でレジュメ全体の内容をチェックします。

特に「経歴と実績」は最重要ポイントで、書類選考している担当者が合格ライン以下だと判断してしまうと面接まで進めません。

本記事の後半ではそれぞれのポイントを解説するので、採用担当者が欲しい情報をわかりやすく記載することに気を配ってください。

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紹介会社でなく一般応募の場合、人によっては「志望動機と自己PR」を注意深く見る人もいます。この2つの内容は、本人が本気で応募しているのかどうか(志望度合い)と人間性や文章力が、前もってわかるからです。

職務経歴書はどのタイミングで見られる?

デザイナーを採用する面接官は、さまざまなポジションの方がいらっしゃいます。

  1. 人事部採用担当者(ノンデザイナー)
  2. 現場担当者(デザイナー)
  3. 現場責任者(ディレクターorデザイナー)
  4. 担当役員or社長(ディレクターorデザイナー)

面接が複数ある場合は、上記の順で面接を重ねていく傾向にあります。求職者に複数回面接してもらうのはお互い手間がかかるので、多くの場合1、2をまとめて行い、3、4の2次面接を経て採用合否を決める面接2回型が主流です。

ただ最初の書類選考はほとんど、2か3のデザインに知識がある方が行う場合がほとんどなので、職務経歴書、履歴書、ポートフォリオは応募時点からしっかり作成しておく必要があります。

転職サイトのプロフィール欄もしっかり書くことが重要

スカウトのイメージ

最近の転職市場ではスカウト型転職サイトで採用担当者自身によるオファーもあります。(Bizreach、ミイダス、エン転職など)

この方法は紹介会社経由で採用するよりも採用コストが安いため、利用している企業が非常に増えています。

こういったスカウト型サイトに最初に登録する時も、職務経歴書欄はしっかりと入力しておく必要があります。特に気を付けるべきポイントは入力した文章内のキーワードです。

採用担当者は転職サイト内の候補者を探す時にキーワードで絞り込んで検索をかけることがあります。

以下のキーワードなどをしっかりと入れておくことにしましょう

登録時のプロフィールに入れるキーワード項目

  • 職種名(WEBデザイナー、ゲームCGデザイナーなど)
  • 使用ツール名(Photoshop、Illustrator、AutoCADなど)
  • 経験した作業名(ライティング、撮影、映像制作など)
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転職サイトのスカウト候補者検索では細かな職種の絞り込みが出来ないため、上記のようなキーワードで絞り込み検索を行い、スカウト候補者を選んでいます。

しっかり書くべき項目と書き方のポイント

以下の3点については、しっかりと書くことで書類選考担当者の面接意欲を高めることにつながります。

  1. 過去の経歴(業界/会社/役職/職種など)
  2. デザイン作品の実績(主にセンスを見る)
  3. 使えるツールやスキルなど

1.過去の経歴(業界/会社/役職/職種など)

中途採用の場合、最も重視するポイントは過去の経歴です。

どんな業界で働いていたか?

事業会社などで内製のインハウスデザイナーを目指すなら、その業界特有の知識があるかどうかをしっかりとアピールしてください。特に知っていると優遇される業界知識は以下が挙げられます。

  • ターゲット顧客はどのようなサービスを選定するか?(=顧客ニーズ)
  • 扱う商材のメリットデメリットはどの部分か?(=商品に対する深い知見)
  • 競合他社の順位は?(=ベンチマークすべき会社はどこ?)
  • ターゲット顧客が好むデザインは?(業界内のデザイントレンド)

上記を理解した上で行うデザインは実用的で成果も出しやすくなるので、そういった知見が前もってあると思われると即戦力として期待されるというメリットがあります。

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現在受託系会社で働いていて事業会社側(クライアント側)に移りたいと思っているデザイナーは、同業種のクライアント名などがあれば積極的にアピールするとよいでしょう。

どんな会社で働いていたか?

会社の規模・設立年数・資本金・事業内容を記載して、どういった会社に属していたかを説明しましょう。

特に見られるポイントの一例としては、以下があります。

  • 会社の規模が大きかったり、上場している会社にいることでコンプライアンス面でセクハラ研修・パワハラ研修などの教育を一通り受けている会社に適した人材として見られます。
  • 大手企業出身だと、分業制主体により与えられた業務の幅が狭く専門的すぎるのではないかと疑われる面もあります。
  • 設立年数が長いと、古い体質の会社にいたのではないかと思われます。(良くも悪くも)
  • ベンチャー気質が強い会社にいた場合、スピード感を持って事業を推進してくれるのではないか期待されます。
  • 逆に、大手企業の場合はベンチャー気質の人材は社内風土に合わないかもしれないと心配されます。

上記はあくまで一例ですが、主に応募者と自社のカルチャーがマッチするかなどを見ることが多いです。

どんな役職を経験しているか?

採用担当者は応募者の実績を経歴書で読みとる際に、必ずと言っていいほど「そのプロジェクトや部署でのご本人の役割は?」ということを気にして聞いてきます。知りたい項目は以下になります。

  • 自ら起案して行ったプロジェクトか?
  • 自分自身がすべてデザインしたのか?それとも主に先輩や上司がデザインしたのか?
  • プロジェクトマネジメントをした経験はあるのか?
  • 成果にコミットする責任ある立場で仕事を遂行した経験はあるのか?

上記を聞く理由は、現在募集しているポジションにマッチする経験を持っているか?現在のチームメンバーとのバランスはどうか?具体的な成果を出した実績があるのか?という点で見られることが多いです。

仕事の成果記載例

個々の経歴では、その仕事の成果を具体的に記載すると採用担当者もイメージが付きやすいです。

  • 10社参加のデザインコンペを勝ち取った
  • デザインリニューアルで売上が134%伸長した
  • 問い合わせ件数が2.6倍に向上した
  • 2021年ABC社コンペティションの優秀デザイン賞を受賞した
  • 予算3億、期間2年、部下12名のチームリーダーとしてプロジェクトの目標KPIを達成した

など、出来れば具体的な数値を使って説明できると、より信頼されるPRになります。

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「●●のデザインを行った。」とか「●●について満足してもらえた。」などという表現だけでは、尺度が曖昧で響かないので、数値で可視化すると刺さりやすい内容になりますし、成果にコミットする気概を感じられるので好印象になります。ただし会社が非公開の数値情報を掲載するのはNGですのでお気を付けください。

どんな職種(部門)を経験しているか?

デザイナーの専門スキルをアピールすることも重要ですが、さらにその他のPR要素があるのであれば、余すことなく出しましょう。

もし営業部門の経験があれば、顧客ニーズを直接聞く力を養ったと言えますし、人事部ならば採用マーケティングの知識を得ることが出来たなど、デザイン以外の業務も柔軟にこなせるマルチプレイヤーであることを印象付けられます。

また転職先によっては、デザインに限定された専門的な作業だけでなく、会社や組織運営のさまざまな種類の雑用などもこなす必要があります。

わかりやすく例えるなら、毎年学校で割り当てられる委員会活動のようなもので、社内外のイベント運営手伝いや社内制度を検討する委員会に選ばれたり、社内サークルの幹事を任されたりするイメージです。

そういったデザイン作業以外の業務も行えることをアピールできれば、総合点で他の応募者よりもポイントが加算される可能性もあります。

2.デザイン作品の実績

デザインの実績を職務経歴書に挿入すると、読み手としてはよりイメージを掴みやすくなります。

ポートフォリオを別途作成する事も重要ですので、ポートフォリオと重複しますが、各経歴欄に概要として代表的な作品を挿入する程度でよいでしょう。

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別紙のポートフォリオと職務経歴書を照らし合わせて、どの時期にどの作品を作ったのか確認するのが面倒なので、プロジェクトで行った作品の例として1、2点ずつ経歴書内に添えるだけでも、読み手の理解度が増します。

3.使えるツールやスキルなど

デザインの作品や実績の文章だけでなく、使用したデザインツールも記載してください。特にグラフィックツール類や3DCADソフトなどは製品名を記載しましょう。

デザインソフトだけでなく、WEBデザインの場合はプログラミング言語やログ解析ツール、建築デザインの場合はパースや模型製作、PowerpointやWord、Excelなど幅広く書くことをおすすめします。

参考:使用ツールの記載例

  • Adobe Photoshop:10年
  • Adobe Illustrator:6年
  • Word:文書作成レベル
  • Excel:簡単な関数を使えるレベル
KonKon

使用年数などで各ツールがどれくらいの熟練度なのかも記載すると良いですね。

デザイナーの職務経歴書テンプレートは?

職務経歴書のレイアウトは、なるべく他の方と同じような書き方にした方が良いでしょう。読み手が見慣れたレイアウト方が読みやすくなります。

急ぎの場合はネットで落ちている書式をダウンロードして職務経歴書を作成してもよいのですが、少しだけデザインのアレンジを加えてみると、デザインセンスなどをアピールできるので是非チャレンジしてみてください。

職務経歴書デザインのサンプル例

一般的なレイアウト書式

まずは一般的なレイアウトをご紹介しておきます。採用担当者が一番見慣れているレイアウトです。

通常の職務経歴書イメージ

少しだけアレンジした職務経歴書デザイン例

すこしだけ標準の型を崩して、デザインレイアウトしたパターンの例です。

所属会社のプロフィール欄などにあるテキストの長文を出来るだけ分解し、項目はリスト化したりパネル化してレイアウトするだけで、視覚的に見やすくなります。表組も縦の線をあえてなくしてシンプルでモダンにしています。

少しデザインをアレンジした職務経歴書イメージ

よりレイアウトをアレンジした職務経歴書デザインの例

グラフィックデザイナーやエディトリアルデザイナー職の方は、思い切って自己流のデザインで職務経歴書を作成してみましょう。職務経歴書自体が自己PRとしての作品になります。

下図の例は、時間軸を主体としたレイアウト構成で、作品のサムネイルイメージを挿入してより視覚的に職務経歴を理解させる効果を狙った事例です。

かなりデザインレイアウトを変えた職務経歴書イメージ
KonKon

標準フォーマットよりわかりにくくなるようなレイアウトだと逆効果になるのでご注意ください。直感だけでデザインするのではなく、目的を持ったレイアウト設計を心がけたいですね。

見やすい職務経歴書の構成ポイント

要約を付けると効果的

職務経歴書は時間をかけて隅々まで読み込んでくれる採用担当者はあまりいません。そのため要約(=Summary)を2~4行くらいで端的にまとめて最上段に掲載しましょう。特に含めてほしい要素は以下になります。

  • これまで主に行ってきた経験(職種、年数など)
  • 得意分野(デザイン、マーケティング、分析など)
  • 今後の目標(やりたいこと、なりたいポジションなど)

各経歴は、長文になりすぎないようポイントを絞って書く

各項目で何をやってきたか?を端的に記載しましょう。採用担当者が知りたい内容は以下になります。

  • その仕事で何を達成したか?
  • その仕事ではどんな工夫をしたか?
  • その仕事の自分のポジション(役割)は何だったか?
  • 具体的な作品実績は?
KonKon

部下がいた場合は人数を書き、作品が何かの賞を受賞した場合はその実績も書きましょう。社長賞など社内の表彰制度の実績でも構いません。

いつからの経歴を書くべきか?

経歴はいつから遡って書けばよいか?についてよく聞かれます。答えは基本すべて書いてほしいです。

長くなるからと言って、無駄に省略すると以下の点で怪しまれます。経歴に空白の期間があるのも好ましくありません。

  • なにか休職などをする病気があったのではないか?
  • 学校卒業後は、怪しい仕事に従事していたのではないか?
  • 何か不祥事を起こして言えない経歴があるのではないか?

などの余計な不安を与えてしまいます。

デザインに関係ないアルバイトや、スクールに通っていた期間、独学で勉強に励んでいた期間、充電のための旅行期間など、正直に書いた方が求職者と採用者、双方のためになるので出来る限り空白の期間を埋めるように記載してください。病気療養の場合は完治したかどうかも伝えたほうがよいので、現在の状況も記載しましょう。

自己PRの書き方

時間軸に沿った経歴紹介以外にも、以下の要素を最後に補足として記載しておくとよいでしょう。

職務経歴書の最後に書いた方が良い自己PR内容

ここの部分は、求職者側の志向と採用する側のポジションやキャリアパスをマッチングする上で意外と重要な要素でもあります。

  • なぜデザイナーになりたいのか?
  • 今後どんなデザイナーになりたいか?
  • デザイナーだけでなく他の職種にも興味があるか?
  • どんなツールが使えるか?(使えるソフト一覧など)
  • 自分が仕事に熱中しやすい環境や条件
  • デザイン業務以外のやってみたい仕事(ブランディングやマーケティングなど)
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「希望年収」や「希望労働条件(時短勤務、兼業)」などは履歴書の方に記載するのが一般的です。

参考:自己PRの例文

私は小さい頃からデザインに関して興味を持ち続け、独学で〇〇のデザインや○○などのデザインツールを学んできました。最初は自分の好むデザインを行っていましたが、会社(クライアント)が必要としているデザインは何か?事業貢献に寄与するデザインの役割や目的について自問自答しているうちに、マーケティングの知識に興味を持ちはじめ、プラン策定のための各種調査や結果を数値で分析できるスキルを身に付けました。最近ではデザイン力で事業貢献に寄与していることが実感できることにやりがいを感じています。

今後も私のデザイン力が事業発展に貢献できるよう、多種多様な業務を行いながら、メインとなるデザイン業務に携わっていきたいと考えています。

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職務経歴書を作って誰かに意見をもらいたいと思っても、身近な人だと恥ずかしかったり転職したいという事が周りに知られてしまうのでなかなか安易に見せられなかったりします。

そんな時は人材紹介会社に登録して、エージェントの意見をもらうとよいでしょう。エージェントはたくさんの求職者を企業に紹介しているので、多くの同業種のデザイナーの職務経歴書を見ています。電話での面談を通して、自分の職務経歴書に何か不足がないかどうかを積極的に聞いてみると、「もっとこう書いた方がいい」などのアドバイスがもらえるので、かなり参考になります。

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