本記事は、デザインでよく利用する素材配布サイトについて、利用する際の注意点を解説しています。
クライアントや自分が所属している会社に迷惑をかけないよう、利用規約を守った安全な素材利用を心がけてください。
特にデザイナーはデザインのプロフェッショナルとして、周りのノンデザイナーの人が知らない肖像権・著作権の知識はしっかり身に付けましょう!
商用フリーの落とし穴
ほとんどの商用フリー無料素材サイトには、「利用規約」があります。この利用規約を読まずに商用フリーだからなんでもありだと思って使用すると思わぬところで規約違反をしていたりするので注意が必要です。
注意点1:規約に掲載されていることがある利用制限の一例
例えば以下の規約内容があります。
一つの制作物で素材を複数使用する場合、21点以上から有償となる。
作者のクレジット表記を入れなければならない
商品の中に入れる場合は、別途費用が発生
紙媒体に使用した場合は、配布枚数一万部以上からは有償となる
素材自体を2次配布してはならない
上記のような利用をしている方は、提供元素材サイトの利用規約を一度確認してみましょう。
注意点2:素材利用で著作権侵害があった際は自己責任になる恐れがある
ほとんどの無料素材配布サイトでは、配布している素材が誰かの肖像権を侵害している場合でも、配布元は一切責任を負わないと記載しているところが多いです。
仮に肖像権侵害で訴訟となった場合は、配布サイト側は関知せず、利用者と肖像権所有者とで直接やり取りして解決するように記載されているところがほとんどです。
海外の写真素材サイトでは、日本の店舗の写真や製品の写真などが多く配布されていますが、そのまま使用すると肖像権侵害になる場合があるので十分注意してください。
参考:良質なフリー素材サイト
注意点3:他社のロゴはほとんどの場合で無断使用は禁止
写真素材で多く見かけるのが、モバイルの写真に出てくるAppleのロゴやGoogleのロゴなどです。またFacebookやAmazonなどのサービスロゴのデフォルメされたアイコンなどもよく見かけます。
実際のイメージ例
これらのロゴは商標であり、勝手に使用することを禁止している企業が多いためご注意ください。ロゴの使用ルールは各企業のブランドガイドラインなどに記載しているので、各社のサイトで必ず確認しましょう!
各商用フリー素材サイトの利用規約を解説
ここでは、多くのデザイナーが利用している商用フリー素材配布サイトの中で、利用規約に制限が書かれているケースをご紹介します。(それぞれのメリットも合わせてご紹介します。)
いらすとや
バリエーションの多さでは、右に出るものはいない唯一無二のイラスト無料素材配布サイトです。
誰もが一度は必ず見たことがあると言っていいくらい、大変多くの方に利用されています。
いらすとやのご利用規約に記載されている注意点
素材を21点以上使った商用デザイン(重複はまとめて1点)は有償
上記は意外と知らなかった方が多いのではないでしょうか?ご利用規約にはその他にも禁止事項など記載がありますので一度ご確認ください。
写真AC・イラストAC
1日数点までなら無料でダウンロードできる写真ACです。イラストACや動画ACなどもあり、年々素材のバリエーションも増え続けている素材配布サイトです。
写真ACの利用規約に記載されている注意点
写真(イラスト)利用に関するいかなる権利侵害に対して責任を負いません。
この配布サイトでは、クリエイターがアップロードした写真を、他の方がダウンロードするという方式です。そのため個々の写真の肖像権について配布サイト側では確認と保証を行っていないため上記のような文章が利用規約に記載されています。
ぱたくそ
こちらも益々写真のクオリティが上がってきている無料素材サイトのPATAKUSOさんです。
この写真の方もかなり見かけまよね。
PATAKUSOの利用規約に記載されている注意点
モデル(モデルリリース取得済み)の名前を変更して表記することはできません。
PATAKUSOの利用規約は上記のような記載があるのが特徴です。例えば素材に出ているモデルさんの写真を切り取って、ユーザボイスなどのコンテンツで名前を変えて掲載することを禁止しています。
実際にWEBデザイナーに20万円の支払いを命じた判決例
著作権などの侵害について、実際に罰せられた事例がないか調べたところ、デザイナーが有料素材サイトの素材を無断で使用していた事案があり、裁判所の判決は20万円の支払い命令が下ったという実例がありました。
無料サイトからダウンロードしたと主張したが、認められなかったそうです。この辺を考えると、やはり無料素材サイトにはそれなりのリスクが伴っているのだと感じました。
大変わかりやすく参考になった弁護士事務所の記事
有料素材サイトは安全なの?
PIXTA、Adobe Stock、amana imagesなどの有料素材サイトの利用規約は前述のようなリスクはないのでしょうか?
PIXTAの規約は?
PIXTAの利用規約を読み解くと、素材の著作権などが安全であることを保証するけど、別の内容で第3者と紛争になったら責任をとらないという内容のようです。つまり掲載されているコンテンツのチェックは行っているという事ですね。
著作権、肖像権その他の権利について他の第三者の権利を侵害するものでない旨の保証を得ていることを保証します。
第三者との間に生じた何らの紛争及びこれに関連するいかなる損害についても、一切責任を負いません。
実際にPIXTA内で「Google」と検索しても、Googleのロゴを使用した素材は一切出てきません。しっかりと検閲をして安全な素材のみを提供してくれていることが良く分かります。
Adobe Stockの規約は?
Adobe Stockの利用条件からリンクしている「Adobe Stock Additional Terms(PDF)」を確認すると、明確に訴訟などのトラブルから我々を守るという素敵な文章が記載されていました。
訴訟、または法的手続(「侵害申立て」)からお客様を防御します。
侵害申立てに直接起因する損害、損失、費用、経費、または賠償金をお客様に支払います
「防御します」という言葉が記載されているので、非常に安心感が持てます。ですがAdobe Stock内で「Google」と検索するとGoogleロゴを無断で使用したっぽい素材がたくさん出てくるので、なかなか豪快な運用をされていると感じました。笑
amana imagesの規約は?
amana imagesの利用規約には以下の文章が記載されています。有料でも第3者からの紛争に発展した場合は関知しないようです。
利用者その他第三者に発生した紛争および損害について、一切の責任を負わない
amanaさんの場合は、しっかりとした検閲を行っていらっしゃるので、上記の文章があっても無料素材サイトと比べてリスクは格段に低いと思います。
デザイナーはプロ意識を持ってルールを守ろう
今までこんな風に考えていた方は、本記事にで説明した内容をご参考にちょっと思考を変えてみるとよいと思います。
- みんなやっているから自分もやってもいんじゃないか?
- 「商用フリー」って言うんだから仕事で使用しても何ら問題ない。
- 製作予算がないから利用するのは致し方ない。
特にクライアントの納品物に無料素材を使用する場合は、相手に多大な迷惑をかける事にもなるので慎重に確認して使用するようにしましょう!